会報誌「まいにち多言語」はヒッポファミリークラブ会員向けに編集・発行しています。活動やイベントについてのお問い合わせは一般財団法人 言語交流研究所・ヒッポファミリークラブへお願いいたします。
ヒッポの海外高等学校交換留学Year Long Program(イヤロン/YL)の準備の中で一番大切にしているのは「ことばを歌う」こと。高校生たちはヒッポの日常の集まり「ファミリー」で、多世代の仲間と一緒にたくさんメタ活(ヒッポのマテリアル音源を聞こえてきたとおりに自然に口にだす活動)をして、行く前からことばを育てます。
■フランス語をメタ活すると「何でそんなに歌えるの?」と聞かれる。2歳からヒッポをやっててメタ活は知ってたけど、正直興味はなかった。イヤロンに行くと決めてから歌ってみてその楽しさに気付いた。
【僕がメタ活で心がけていること】
①メタ活する時、歌えないと決めつけず、すごく大きな声で歌うこと。
②一人でメタ活していると音源がよく聞こえるから、音を完コピしてるやるぞって、女の人の声とか男の人の低い声に寄せるくらい登場人物になりきってまねしたり、お話の合間にある音楽とかも口笛でまねしたりする。
③みんなで歌う時は音が混ざって自分の声はわかりにくくなるけど、一体感がすごい。僕にはこう聞こえてた音は他の人にはこう聞こえるんだっていうことによく気付く。自分が歌えてないとこが目立って嫌になる時もある。でも自分があんまり歌えなかったとしても、みんなで歌えば怖くない!
④メタ活してる時、意味を気にしてると何故か歌えなくなってしまう時がある。だからあまり考えすぎず頭を空っぽにして音をまねすることだけに集中して歌ってる。最近ことばって音楽ということを聞いた。とても共感した。いろんな国のことばの波があるように、音楽にもいろんなタイプの曲がある。僕も音楽を歌う時、メロディーに注目して歌う。それと同じなのかな。
⑤フランスに行くのでフランス語をよくメタ活している。だがフランス語だけで続けていると飽きてしまう。そんな時はフランス語以外を歌って、口をリフレッシュする。いろんなことばを味見する。常に音に対して新鮮な気持ちでメタ活できる。
本当にこのまま歌い続けてフランスでことばを理解できるようになるのか迷ってしまった時があった。つまり文法からことばを知ろうとした。でもそれは遠回りだってことに気付いた。
文法から理解しようとするというのは、学校の英語の授業の形式と変わりないことだ。僕は学校の英語の授業がかなり苦手で楽しくなかった!今僕は楽しくメタ活できてるけど、もしことばを勉強してメタ活が楽しくなくなってしまった時それはすごい残念だしもったいない。それに今から焦ってやることでもない。日本にいる間はひたすらメタ活して音の貯金をたっぷりする!向こうに行ったら生活してことばを発見して感動して、それを実践してみて…っていう繰り返しなんじゃないかなって、イヤロン行く前だけどそう思った。きっと自分で気付いた感動は頭に残るはず!今、フランス語の答え合わせをしちゃうのはもったいない!
僕はイヤロン準備をメタ活一筋でやってきた。ここまでやってきたメタ活がイヤロンを通してどんな影響があるのか今からワクワクが止まらない!
(T. K.さん/東京都・なすたやーしF)
イヤロンに出願したばかりの後輩たちのガイダンスで、高森君が体験談をフランス語で話す機会がありました。まだ出発前なのにまるで帰国生のような流暢なフランス語にみんなびっくり。でも本人としては歌う時と同じように、自然に頭に浮かんだ音を口に出しているだけのようでした。帰国後が楽しみです。
6つの国・地域8コース(青少年韓国・台湾・ロシア・アメリカ・メキシコ、家族メキシコ、アジア青少年多言語交流with中国、太湖大学堂
小学生キャンプ)を実施。総勢○○○名が参加。アメリカとメキシコは現地に出かけるリアル交流を再開することができました。
ちっぽけな交流と思ってたけど…
Apa kabar? 近所の工場へ勤務しているインドネシア実習生の生活指導をして5年。始めた頃の彼らは、工場・アパート・スーパーへの移動のみ。実習生数人でアパート暮らしなので、インドネシア語で事足りてしまう。ヒッポのホームステイ交流経験ある私から見たらもったいない!3年前に一念発起して、地域メンバーにホストファミリーになってもらい、小さな受け入れ交流を始めました。
コロナ禍ではオンラインホームステイを実施。折り紙したり、料理作って見せ合ったり、楽しく交流♪そして解除後、オンラインでは物足りない~!とそれぞれに、インドネシア料理店でランチしたり、ビジット訪問したり、いつの間にかリアルで交流していて驚きでした。
そして今年はリアルで2度開催。仕事で忙しいのに地域のヒッポ合宿にも4人も参加してくれました。生活指導中ほとんど話さなかった実習生が、たくさんのメンバーに囲まれて過ごしただけで、笑顔もことば数も増え、心を開いてくれてビックリ。行かせてよかった!!
実習期間を終えて帰国する実習生の送別会は毎回、感謝いっぱいで感動。地域のちっぽけな交流と思っていたけど、大っきな喜びと感動をもらっています。へっばっ!Nuhun!
(M. A.さん・フェロウ/神奈川県・まにまにF)
世界に広がる「近所の古澤」!
ヒッポに入ると、日本人ではなさそうな人に「何語かな?」と近づき、つい声をかけてしまう。多言語人間とは、すべてのことばに開かれた心。心を開くことで新しい世界を取り込み、新しい自分を創り出す。私のヒッポ人生40年ずっとやってきたこと。最初の頃は駅、道、スーパーで思い切って声をかけ、失敗もいっぱい!電車の中で中国人のグループに「我是シェン嗎(私は誰)?」と言って気の毒そうな顔をされたり、オーストラリアのご夫婦に「日本は人が多いね。人口は何人?」と聞かれ「10billion!(10億)」と答え相手をのけぞらせたり。
でもいつのまにか住んでいる町でも友だちの輪が広がっていきました。友だちになるとまず「What’s Hippo?」を伝えます。インド、パプアニューギニア、フィジー、スリランカ、マラウィの人がメンバーになりました。ヒッポのみんなを好きになってくれたマラウィ大使夫人のAnniさんと後任のIreneさんの尽力で、マラウィホームステイ交流が実現。また、前任大使夫人達から「日本へ行ったらまずヒッポを始めるといいよ」と後任大使夫人へ申し送りされるように。どうやってそうそうたるメンバーとお友だちになるの?「近所の古澤です!」と挨拶すればいいだけ。日本にいても広がる多言語仲間を創ることをこれからも続けていきます。
(F. F.さん・フェロウ/東京都・大森ららF)
ヒッポを楽しんでいた自分がたまたまお父さんになって……
平日は会社帰りに中部本部で、週末は三重で妻と2人の子どもと活動しています。タイ語をやってみたくて1994年に愛知県蒲郡市でヒッポを始め、名古屋へ転勤になってからヒッポメンバーの妻と出会いました。妻はこの夏アメリカカンザスで初めてグループフェロウに挑戦しました。
その妻が地域の活動の場を主宰するフェロウになりたいと言った時、実は一度反対しました。ヒッポは「赤ちゃんの方法」でことばの習得を実践していますが、フェロウの側になってしまうと赤ちゃんになりにくいのではないかと思ったのです。でも実際にはそんな事はなく、今は環境に浸る自分と環境を作る自分の両方楽しんでいます。
そんな私の今の環境を紹介すると、三重ではイヤロン準備中の人、入会してすぐ家族でサマージョンキャンプに行った人、LINEミーテングでラジオ番組風に会を開く人、男会(男性メンバーの会)の司会を頑張ったお父さんたちに囲まれています。中部本部には3世代メンバーもいて、子どもたちが集まると小児科の待合室みたいに賑やか!更には、スイスの物理学者パウリや、チョムスキー言語学についての本の輪読も仲間とわいわい楽しんでいます。元々歌うのも好きでしたが、娘がこの夏アメリカのイヤロンから帰国してから、自分も英語がより自然に出るようになった気がします。
(O. K.さん/三重県・名古屋NIC F)
WIP(World Internship Project)でウガンダに行ってきました!
私は東アフリカにあるウガンダの田舎でインターンとして1か月間小学校の先生をしてきました。先生不足だったため2クラスを兼任し、算数や英語、リテラシーなど現地語以外のすべての科目を担当しました。週末はホストママに相談し、村の人々を集めてお悩み相談会を開きました。理由はズバリ、現地のリアルな声を直接聞きたいと思ったから。3日間で6つの村を周り、200人以上の方と今ある問題について話したり、時にはダンスをしたりしながら交流しました。片足をあげれば次の一歩は必ず変化がある‼︎ 村の方々と未来に向けてディスカッション出来たことがとても嬉しく、最高に豊かな時間となりました。私にとってアフリカは自分の世界を広げてくれるパワースポットです!Webale!
(H. H.・大3/埼玉県・なみのりF)
皆さんからの「マナイマ~な毎日」のネタをお待ちしています!
投稿はこちらまで↓(誌面の都合で掲載できない場合があります)
mainichi.tagengo@gmail.com
①本名(ニックネーム) ②お住いの都道府県
③ファミリーネーム ④所属フェロウのお名前
⑤お子さん&学生の場合は学年も!
▶Charming Sale March♪息子4歳&もうすぐ2歳。ファミリーでも踊るけど、お家だともっと踊る!シャイな子あるあるですよね。
(Y. S.さん/神奈川県・ランジャF)
▶二人の孫、好きなSA!DA!はチャーミングセールとウルトラマンじゃんけんby息子5歳、ラササヤンby娘3歳。みんなのまねをして、オラ〜、アニョハセヨと多言語で話すのが楽しいです。
(I. R.さん・フェロウ/東京都・バイクバイクF)
▶4歳の息子がある日突然、SA!DA!の「ナヌンヘンボカムニダ」のサビを歌い出しました!と思ったらフルコーラス歌ってる〜!驚いてリクエストして歌ってもらいました。動画の顔が真剣ですが、いつもはニコニコ歩きながら口ずさんでいます。ファミリーではまだ披露してくれなくて、こっそりなのかもしれません。
(F. M.さん/東京都・puthiF)
ホームステイをしながら現地の高校に約1年間通うプログラム。2021年春夏に出発した94名の高校生たちがタイ、アメリカ、イタリア、カナダ、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、メキシコから帰国。21年度、冬に出発した10名の高校生たちは現在、オーストラリア、アルゼンチンでがんばっています。高校生たちが留学を通して見つけたことを紹介します。
普段から私は本当の自分を隠して生きていた。家での性格が素の自分なら、ヒッポではよく見られようといい子ぶっているし、学校では日陰で隠れるように生きているように思っていた。「なりたい自分」になろうとしても張り付いてしまったイメージを変えるのは難しかった。
そんな中で挑戦したタイ留学。それは私にとってなりたい自分になる絶好の機会だった。タイには普段の私のことを知る人は一人もいないと思うと心が軽くなった。日本の学校では出せない積極性を出して知らない子にも話しかけて友だちになれた。プレゼントや代金の支払いなど普段なら遠慮してしまいそうな場面でいい意味で図々しくなれた。ホストが部屋にこもってゲームをしていても、自分からドアをノックして話しかけに行けば心を開いてくれた。迷惑をかけてしまうかなと考えて行動できなかった自分を捨て去って、やりたいことを自由にできる自分になれた。
「なりたい自分」になるために自分がしてきたこと、それは「ありのままを受け入れること」だった。コロナ禍で外出できない中でも、その中でできることをしようとした。結果、できなかったことはたくさんあるが、やり残したことは一つもないと思う。全力120パーセント、後悔はない。(K. I.さん・高3/静岡県・ルミエ〜ルF)
ドイツの学校にはトルコ人、ポーランド人、ベトナム人などいろんな国の人たちが通っていた。友だちもすぐできた。共通語はドイツ語。ドイツ語が不得意な人は英語を混じえてコミュニケーションしていた。自分も初めは英語を混じえて話していた。「Wow Hier gibt viele People」と言っても誰も笑わずに話してくれ、意思疎通できる。でもある程度ドイツ語を話せるようになるとドイツ語だけを話そうと思った。英語で話しかけられてもドイツ語で返す。
ちょうどその頃ドイツ語が伸びなくなってきたと思い始めた。何でかな?と考え、とりあえず前みたいに英語を混じえて話してみようと思った。同時に封印していた日本語も口にしてみるようにした。「おはよう」「行く」とか言っていたら、いつの間にかみんなが「行く!」と言うように。日本語も一つの言語として認められた感じが嬉しかった。
授業中はいろんなことばが飛び交い、自分もドイツ語、英語、日本語など構わずどんどん発言した。悩んでいた時よりもたくさんことばが出てくるようになった。これからも何語に関わらずいろんな言語でコミュニケーションを取りたい。(M. A.さん・高3/東京都・パルパルF)
フランスの学校の友だちはみんな優しくて、話の輪に私を入れてくれるけれど、もちろん初めは全くわからない。聞いてるだけの時間が長く続いた時、私はここにいる意味あるのかな?って思うことも。複数より二人で話す方が話しやすかったから、友だちとお昼を一緒に食べる時間を大切に。毎朝、今日はどういう質問しようかとか、何を聞いたら彼女が笑顔になってくれるかなど考えてました。最後には、彼女から素敵なアルバムをプレゼントされるほど仲良くなれました。
ホストファミリーとはスペイン語溢れる環境にいました。特にパパがフランス語を話さなかったのが、私のスペイン語を伸ばす大きなきっかけになりました。フランス語のようにスペイン語でも話せるようになりたいと、家でスペイン語を話す量を増やし、挨拶はスペイン語で言うようにして、質問もしました。かたい顔で見てくることも多かったけど、私が会話が分からず黙ってる時に笑わせてくれたりする優しいパパでもありました。日本に帰る日、パパから最初で最後の電話が来て、「無事に日本に帰るんだよ mi hija(私の娘)」 って言ってくれて、とても嬉しかったです。
「話す」のは「人とつながる」こと。日々自分と目の前の人と向き合ってきたイヤロンでした。(W. H.さん・高2/神奈川県・ポコポコF)
日本の高校に通う高校生を約1年間受け入れするプログラム。春にタイ、韓国、メキシコ、スロバキア、エクアドルから9名が来日。夏にメキシコ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、イタリア、タイ、ベルギー、スペイン、ブラジル、アメリカから28名が来日。これまでで最多の37名の留学生たちが、ヒッポのメンバー宅にホームステイしながら高校生活を送っています。
今春も「オープントラカレ講座」8講座を開催。物理学からアートまで、幅広い分野で活躍されているヒッポファミリークラブの研究協力者の皆さんにお話していただきました。その中からヒッポ育ちの先生お二人、鈴木淳さんと大塚淳さんに講座を終えての感想やヒッポについて思うことなどをお聞きしました。(文中敬称略)
編集:まずは準備会について。ヒッポならでは、驚いたことなどお聞かせください。
鈴木:講演のテーマについてのお題(宿題)を出し、準備会でディスカッションしていただくのが僕のスタイル。皆さんが真剣に質問し、理解しようとし、自分なりの答えにたどり着くのにはいつも驚かされます。
大塚:今回の二つのテーマ、統計と哲学、学生でもどちらかしか知らないし、必ずつまずく。でもヒッポの人はつまずかない。僕の本を買って読んでくれている、しかも輪読!SA!DA!まで作っている。専門家向けに書いた本も想定外の読み方で、本質を突いたまとめ方にびっくりすると同時に、ああ、ヒッポはこういう感じだったと納得もしました。
編集:お二人とも小さい頃からトラカレで物理や数学の世界に触れてこられたと伺っていますが、ヒッポの子どもたちに対して思うことをお聞かせください。
鈴木:難解な『量子力学の冒険』や『部分と全体』を小学生から読んでいる。これはとってもすごいこと!量子の世界は大人には難解でも、ヒッポで育った子どもは楽しんで自然に受け入れることができるのかもしれません。
大塚:ヒッポの子どもたちの自分の疑問や意見を言語化する能力がすごい。ちゃんとしたことばで表わすのは難しいことなのに、みんなすらっとやる。これはあなたの話を聞きたいというヒッポの場で育ってきた力なのでは?実は哲学はそこがすべて。今までのことばでは言えないことを概念化する学問なんです。
編集:ヒッポで育ったことで今のご自身にどんな影響がありましたか?
鈴木:いろんな国の人のホームステイを通して、文化や国によって価値観が異なることを子どもながらにして体験しました。大学でも、物理と数学をやりたいけど、専門を1つにしぼるのではなく幅広くできる進路を選べました。また、日本にこだわる必要がないと思えばアメリカへ。その後も様々な分野の人と交流し、型にとらわれない研究をやってこれました。子どもたちにも「日本では正しいことが、他の国では正しくないこともあるんだよ!」とよく言います。実際、妻の国シンガポールは人も宗教もまざっています。
大塚:ヒッポに育ててもらったことといえば好奇心。またヒッポのお兄さんたちには数学やパソコンなどいろんなことを教えてもらいました。概念を組み立てていく訓練もさせてもらったし、海外に行く精神的なハードルがない。4歳までアメリカで育った娘がバイリンガルになっていく姿にも、ヒッポっぽさを感じました。
編集:終わってみての感想をお聞かせください。
鈴木:ヒッポの人は思わぬところをするどく突っ込んでくる。予想していなかった質問が来ることがいつも楽しい!ヒッポの人はどこがおもしろかったか、あるいは、わからなかったかを率直に表現してくれるところがすごいです。
大塚:「わかりやすかった」という感想が多かったのが意外だったけど、多分本当にわかってくれたんだろうな、と思う(笑)。こんな感じで、子どもから大人までバックグラウンドが違う人が集まって、フーリエやら量力やら、色々なことを考えて話し合う場があるというのはとても貴重。でもそれが自然にできるのは、言語習得を第1の目的にしているからと思う。
編集:ヒッポのフェロウでもあるお母さんのことについて、どう思われていますか?
鈴木:母にとってヒッポは自分が存在するための場所なのだと感じています。多言語活動を通して、まわりに人がいて、みんなと共有する場所が拡がる。それがずっと続いている。母が30年以上もヒッポに没頭していることが嬉しいし、うらやましいです。
大塚:母はフェロウを1つのライフワークとしてやっているんだろうなと思ってきました。そういう姿を見ていたから、自分もヒッポで自由に活動できたんだろうなと思います。
編集:あっという間の1時間でした。講座を聞いた子どもたちも先生方のように育っていくのかな?と嬉しく未来を描くことができました。ありがとうございました。
(文責:まいにち多言語編集チーム)
私たちは「ことばと人間を自然科学する」という大きなテーマの下、多言語の自然獲得の活動を40年以上進めてきた。その結果、『自然に!』というメッセージが皆の中にしっかりと棲みついている。
実はモンゴル語の録音の打ち合わせのため7月にモンゴルを初訪問することができた。22番目のことばとして私自身を含めた皆の中から自然に選ばれたことばだ。モンゴル語の導入にあわせて、私は以前よりあのモンゴルの大平原で“遊牧民”たちとも触れ合いながら、雄大な大自然の体験をするプログラムが出来ないものかと考えていた。ウランバートルから1時間少し車で行ったところに「ゲルネーチャーキャンプ(仮称)」ができる場所があり、子どもから大人まで一緒になってゲルに寝泊まりしてキャンプができる素晴らしい環境と施設だった。
その際、今でも遊牧生活を送っている近くの遊牧民のところに行きましょうという誘いで一緒に訪問した。何百頭もの馬の群れを操って飼っている3つのゲルに住んでいる家族だった。ちょうど乳搾りの時間に遭遇した。子馬を母馬のところに連れて行き、乳を含ませる。少し経った時に子馬を親から引き話して、勢いよく乳を手で絞る。絞り手はお姉さんたちの役割だ。馬を操っているのはお兄さんたち。この見事なコンビネーション『工夫』を眺めているうちに「あっ」と思ったのである。このやり方はいつ頃から始まったのだろうか?数百年前?いや数千年かもしれない。人間が長い年月の中で見つけ出し「工夫」してきたやり方だと思ったのである。『自然』に対して『人為』=人が為す=『偽』である、という考えが染み込んでいた私は頭を殴られたような気がしたのである。
韓国語では「学ぶ」というのは「工夫」と言い、コンブハダ(공부하다)となる。このことは以前より知っていたのだが、遊牧民たちの悠久の「工夫」は「学ぶ」ことだと重なった時に、そうだ!全ての「人為が偽である」と決めつけないで、自然の中で工夫し考えていくことが大切かもしれないと思ったのである。
(鈴木堅史・言語交流研究所代表理事)
■韓国ヒッポ:
新しいファミリーが生まれました
韓国に来て15年、地図の左下の方にある全羅南道・務安(ムアン)郡に住んでいます。ヒッポを9年前に知り、海外メンバーとして日本で活動していましたが、コロナで思うように日本に行けなくなったことで、本格的に韓国でヒッポ活動をしたいと思うようになりました。
務安にはヒッポを知る人は居ません。ファミリーをするなら私がフェロウするしかない!様々な方に手伝っていただき、6月にファミリーを立ち上げました。日本人の私が韓国でフェロウをするのは難しいのではないかと不安が多かったですが、そんな私を受け入れ、励ましてくれる韓国のメンバーやフェロウたちがいてくれて、韓国での“私の居場所”が出来たと実感しています。
私は韓国では外国人なので、外国人の奥さんたちと会う機会が多いです。いずれはその方たちと一緒に多種多様なファミリーを作っていけたらいいなと思っています。(T. N.さん/WaggaFフェロウ)
■LEX México:
Hippo Summer
Questa estate multilingue Hippo members in México pudimos disfrutar 青少年交流、家族交流 & конечно Congreso!
今年は3年ぶりに多くの交流もコングレッソももう一回みんなで楽しみました。久しぶりに会えての感動が忘れられない夏になりました。贈り物をもらったような多くの感情を持っていました。
コングレッソでは初めて参加したメンバーやオンラインでしか会ってない友達もみんなでヒッポを楽しんでてすごくよかった。
この夏は私たちみんながヒッポを楽しみ、人間のつながりを継続するようにmotivationが増えた。
現在メヒコヒッポでは来年25周年に向けて準備してます。2023年 Congreso Vamos a vivirlo juntos. ¡Vamos a disfrutar todos!(Fernanda Mares / Coordinator & Fellow)
■LEX America:
“Four weeks is not long enough!”
We were thrilled to host our first live summer youth exchange in the U.S. since 2019. 91 brave, curious, flexible youth and adult leaders from Japan stayed with equally brave, curious, and flexible host families around the U.S. “[Our new family member from Japan] is bringing light, love, and happiness to our American life!” “Four weeks is not long enough!” So much good energy and joyful learning!!(Elizabeth White / Executive Director)
■待望の22番目のことば、モンゴル語の『世界に広がる多言語仲間』が発売されます。共同研究の題材にもつながる新しいことばをファミリー・地域のみんなで聞いて、歌って、楽しみましょう♪
■ベベフィーから生まれた書籍『赤ちゃんと話そう!』が出来ました。子育てもヒッポも100倍楽しくなる!お友だちにもぜひ紹介してください。
■冬のオープントラカレ講座開催。参加申込み受付中。今回も幅広い分野から多様なテーマのお話が聞けそうです。
■第9回LMP (LEX Multilingual Presen-tation) Youth Tokyoが2023年1月22日東京ビッグサイトにて開催されます。高校生~25歳の若者が世界に向けて多言語で発信するメッセージ、今年も楽しみです。